「一球ソフトボール」の感想

ソフトボール部女子部2年 NN

 今回「一球ソフトボール」をしながら感じたことについて、観客が楽しむことができるかどうかという視点に重きを置いて考えていきたいと思います。

 普段のソフトボールと最も異なると感じた点はスピード感とトータル時間です。ほぼ一球で試合が動くため非常にテンポ良く試合が進行していき、7回終えて僅か1時間で終了するというのは、大きな強みだと思います。俗にいう“オリンピック貴族”が試合を観戦して楽しむということを想定する際に、このテンポの良さは間延びして途中で飽きてしまいやすいという野球・ソフトボールのデメリットをかなり打ち消しているといえます。余計な球数が無い分、駆け引きの面白さが分からない人にとっては面白いゲームになると思います。

 次に、1球の重みと1点の重みのバランスについて考えていきたいと思います。通常のソフトボールでは、1球の重みは比較的軽いのに対し、1点は重いことが多いと思います。今回実際に「一球ソフトボール」の打席に立ってみて強く感じたのは、やはり1球の重みです。1球で勝負を決めなければならないという緊張感により、普段の打席に比べてより高い集中力をもって打席に臨むことができたように思います。一方で、もともと野球・ソフトボールというスポーツは、勝敗を決定する要因においてピッチャーの占める割合が非常に大きいという特徴がありますが、「一球ソフトボール」では、さらにこのピッチャーの負担が大きくなると感じました。満塁から始まるということもありボール球を投げられない状況の中、甘く入ったら痛打されてしまいます。また、守る野手側も無理にホームでアウトを取りに行き失点を防ごうとするのではなく、ある程度の失点を想定しつつ、確実にアウトを取りに行くようなフォーメーションになるため、失点を前提とした試合運びになると思われます。1球の重みが増した分、1点の重みが減ってしまうため、いくら打撃戦が投手戦に比べて面白いとされるといっても、高得点試合になると1点に対する盛り上がりも薄れてしまう上、一方的に攻撃する時間が相対的に長くなるため、観客が飽きてしまう可能性もあります。バスケットボール等も高得点試合を展開しますが、この場合攻守が目まぐるしく入れ替わるため観客は飽くことなく試合に熱狂しますが、ベースボール型ゲームの特徴である攻守がはっきりと分かれる点は観客を熱狂させるという視点で見ると不利に思えます。

 第32代アメリカ合衆国大統領のフランクリン・ルーズヴェルトは、「一番面白いゲームスコアは8対7だ」という言葉を残しています。この言葉の賛否は別として、「一球ソフトボール」の最終的なゲームスコアはこの辺りを目指してルールを調整すると良いのではないかと思います。全員が動いているような競技をするという点にはそぐわなくなってしまうかもしれませんが、個人的にはピッチャーの負担を軽減し多少点を入りにくくするという点で、満塁スタートではないパターンでもプレーしてみたいなと思いました。

 最後になりますが、「一球ソフトボール」は過去の遺産つまり全員が野球をするのが当たり前であった時代の遺産に腰掛けているだけで、競技人口も減り斜陽の一途を辿る現在の野球界の在り方に一石を投じる非常に画期的な競技になる可能性を秘めているように思います。「一球ソフトボール」の発展・浸透を願うと共に、その創生に少しでも関わることができ光栄に思います。